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* 以下は・・・過去のサネカズラの画像


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* こちらは・・・

        国道の横にあった溜池とそこにいた ホシハジロ


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*こちらは・・・
    
   ラブホテルの裏にある小道 ここにサネカズラの実があった。


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                        * 2021.01.23


5294) サネカズラ Ⅴ 



 伊万里市の北側のはずれに「大坪」という場所がある。「唐津」に向かう大きな国道が通っていて、交通量がが半端ないところなのだが、それに接するようにある林に隠れて溜池があるという。

 ここにあの美しいオシドリ(*A*)がそこにいると聞いたのは、昨年の12月中旬のことだった。


 早速、伊万里に赴き、その交通量の多い国道を横切って林の中に入った。すると、言われたとおりにそこには細長い溜池があり、静かに水鳥たちが泳いでいた。すぐ近くに激しい交通量の道があるのに、ここはひどく静かなところだった。

 言われた「オシドリ」の姿は発見できなかったが、ホシハジロ(*B*)という小さなカモの一種を見つけたのだった。

 ここには、もう一つ南側にも溜池があり、そちらの方に「オシドリ」がいるのではないかと再び国道に戻って別の入口から歩いて入ろうとした。ただ、その小道は旧ソビエトの諜報機関のような名前の「K〇〇]というラブ・ホテルの裏を通っていて、こそこそ隠れて出てくる男女に出会いはしないかとちょっと緊張した。

 この道は狭くて暗い道だったが、ホテルのフェンスにサネカズラ(*C*)の実がかなりの数絡んでなっていた。こんなに多くのサネカズラの実が一度になっているところを見たことがない。・・・と、いうことで写真を撮っておこうとしたが、下手にホテルのお客や従業員に見られるとまずい。何か…覗きの趣味か変質者と間違えられたらエラいことになると思ったのだ。一旦はここを写真なしで通り過ぎた。こちらの溜池には何もいなかったのである。

 帰り道、サネカズラの写真をどうしようかと思ったのだが、思い切ってカメラを向けシャッターを矢継ぎ早に切ったのだった。仮に人から見られても、このサネカズラの写真だけを撮っているのだと言うつもりだった。何かこのありそうな事態を考えていると、こちらは何も悪くもないのに、気を使ってしまったのが馬鹿らしくなった。


 ところでこの蔓性木本植物の「サネカズラ」だが、これまで このブログに何回となく載せてきた。なかなか面白い形の実である。中心に母基になる実がなり、その表面から次々と小さな種を持った小さな実が出てきて、それが落ちたり、動物に食べられたりして、新たな生息地域を拡大していく


 かつての古い時代には、この「サネカズラ」の若い蔓から粘液をとって、男性の髪つけ油(整髪料)にしたという。このことから、「サネカズラ」の別名が『美男(ビナン)カズラ』もしくは『美女(ビジョ)カズラ』とも呼ばれている。


 日本では関東地方以西の本州から四国や九州・沖縄など温かい地域に山野の林縁などに見られ、蔓性の茎でほかの植物や人工物のフェンスなどに絡まって茎・枝葉が広がっていく。


 ひどく目立つ赤い実がなっていない時には、葉と蔓だけでは「サネカズラ」がどこにあるか判りにくく、その葉と蔓を見ても、それがこの「サネカズラ」とは僕にはわからない。

 「サネカズラ」は、長さ5~12㎝の葉が互生して生え、その葉形は決まったパターンではなく長い楕円形か丸い光沢のある葉である。葉の質は厚みがあり”なめし皮”のような手触りと評される。葉の裏面は灰緑色で赤紫色の斑紋ができることが多く、葉柄も淡い紅色をしている。


 「サネカズラ」は基本的に「雌雄異株」の木だが、ときに「雌雄同株」もあり紛らわしい。花期は真夏7・8月頃だが、葉腋から2㎝ほどの花柄がぶら下がりその先端に淡黄色の花を咲かせるという。花は葉陰で目立ちにくく、花自体は1~2㎝程のものだという。メス花はオス花ほどは目立たないが、秋から晩秋にかけて受精した実が大きくなり、赤くなって熟れてくる。特に目立つもののないこの冬場の林の縁ではその真っ赤で面白い形の実はいやがおうにもよく目立ってくる。


 それらの実については、過去に掲載してきたので、今回は省略するが、この「サネカズラ」の実は古く万葉の時代から人々の心を引きつけ「万葉集」や「百人一首」にも登場している。


  名にし負(お)はば、 逢坂山のサネカズラ 人に知られで 来るよしもがな


                             三条右大臣 (25番)  


 この意味は・・・余計かも知れないが、「サネカズラ」というのは『小寝蔓』と書かれ、恋人を引き寄せ一緒に一夜を過ごせるという。その『小寝蔓』の名前に背かないように、人に知られることもなく、あなたを連れ出す方法があればいいのに・・・と三条右大臣はその恋心を詠んでいるのだ。

 なにか、そのラブホテルの裏手で見つけたサネカズラ、何か因縁めいて面白かった。





*【参照HP】 ① オシドリ(*A*):旬の風 584 オシドリ、② ホシハジロ(*B*):新・旬の風 184  ホシハジロ、③ サネカズラ(*C*): a. サネカズラ  (*791)b. サネカズラ [](*3039) c. サネカズラ [] (*3562)d. サネカズラ [] (*3875) サネカズラ [] (*3875)