* 2020.05.28
5188) ユズリハ [Ⅱ] 花
どんな樹木にだって花が咲き実がなるのだが、大きな樹木の花は意外に見ることがない。・・・というより、その花は樹木の大きさに比較して極端に小さかったり、緑色の目立たないい色をしているからだと思われる。クスノキ(*A*)にしても、庭のマユミ(*B*)やニシキギ(*C*)にしても、それらの花というものは1cmもないし葉の色とほぼ同様の黄緑色から緑色をしている。
ただ、そういう目で見ているとビックリするような花もある。先日、伊万里湾の周辺をウォーキング中に見つけたのは、ユズリハ(*D*)だったが花が咲いていた。赤色に近い褐色の花が固まったようにして新しい葉のもとにぶら下がるように咲いていた。普通はユズリハというと高い木なのだが、伊万里の東山代にある干拓地の一角にあったものは、まだ2mほどのユズリハの木で、枝に付いた花は手に取って観察できる高さにあった。
以前にも述べたが、ユズリハの新しい葉は前年の葉の上部に新たに付き、その場を「譲って」いるように見え、その下から花が出る。そのことからその「ユズリハ(譲り葉)」という名前があリ、譲った後に花が咲き実がなる。2年くらいしたら古い葉は落葉し、子供の葉が成長し、親がその代を譲ることに例えられる。
このことから、家系が途絶えることなく続いていくことの象徴として、正月飾りにおめでたい木として使われてきた。別名を「正月の木」「親子草」などとも呼ばれているという。
かつて仕事で行っていた「青島」(*E*)には今でもこの風習が残っている。正月の門松やしめ縄にはどの家庭の玄関にもユズリハが飾られていた。そのとき調べたのだが、それはヒメユズリハ(*F*)らしく葉が小さいものであった。
ところで、このレンガ色の花は調べてみたら雄(♂)花だった。
ユズリハは「雌雄異株」の木であるらしく、4月頃に新しい葉の下側にそれぞれ両性の別株に花を付ける。雌(♀)花の方はこのようなレンガ色の花が華々しく咲かずにひどく地味な小さな花を付け、その花の元に将来子房となる膨らみを持っているようだ。
両者とも”花”というには程遠いような花びら(花弁)のない花で、この雄の花には雄しべが6~12個ある。その葯の色がレンガ色というか褐色紫色というか不思議な色をしているのである。
雌花(♀)は受精すると実を作るが当初(夏場)は緑色だが、次第に黒っぽくなっていき10~11月にはブルーベリー(*G*)によく似た美味しそうな実になるという。ところが、この実はアルカロイド物質を含み、有毒で食べると中毒症状を起こすと言われているから要注意だ。
*【参照HP】① クスノキ(*A*): a. クスノキ(*774)、b. クスノキ [Ⅱ](*775) ,c. クスノキ[Ⅲ](*3330) ★
,d. クスノキ [Ⅳ](*3539).e クスノキ [Ⅴ](*3565):ヤブニッケイとの鑑別).f. ≪旬の風 331≫ 『くすのき』 の歌 ★② マユミ(*B*):a. マユミ(*805)、b. マユミ [Ⅱ](*2750),c. マユミ(別名 ユミノキ)[Ⅲ](*2955)、d. マユミ [Ⅳ](*3259),e マユミ [Ⅴ](*3906) .f. マユミ [Ⅳ](*4171)、g. マユミ [Ⅵ](*4941) ③ ニシキギ(*C*):a. ニシキギ(*1374)、b. ニシキギ(紅葉) [Ⅱ] (* 1867),c. ニシキギ [Ⅲ](*3039),d. ニシキギ [Ⅵ](*3044), e. ニシキギ Ⅴ(*3518) ★、④ ユズリハ(*D*):a. ユズリハ(*1173)、b. ユズリハ Ⅱ(*1196),⑤ 「青島」(*E*):a. ≪旬の風 124≫ 海の中の春林、b. ≪旬の風 258≫ 青島の“おくんち”,c. ≪旬の風 378≫ 海岸の拾い物,d. ≪旬の風 138≫ 青島の夏
,e .≪旬の風 692≫ タヌキ ★ f. ≪瞬の風 970≫ 青島まで g. ルリハコベ Ⅵ(*4012)、
h. ハイビスカス Ⅴ(*4708)、i. イヌコハコベ ★(*4855)、j. ≪旬の風 730≫ ハリセンボンの大量死、
⑥ ヒメユズリハ(*F*):a. ヒメユズリハ [Ⅰ] ・未確認(*2776)、b. ヒメユズリハ [Ⅱ]・未確認(*2777)、⑦ ブルーベリー(*G*):a. ブル-・ベリ- (*799)
、b. ブルーベリー [Ⅱ](*2426)、c. ブルーベリー [Ⅲ](*2426-b)
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