5144) ネズ(ネズミサシ) [もしくはレバノンスギ]
* 2020.03.12
* 2020.03.12
5144) ネズ(ネズミサシ) [もしくはレバノンスギ]
先日、佐世保のお隣の町の「世知原・吉井サイクリングロード」(*A*)を久しぶりにウォーキングしていた時のこと、道傍にあった樹木である。
一見、ヒマラヤスギ(*B*)の幼木と思って、通り過ぎてしまったのだが、再び戻ってくるときにヒマラヤスギにしては何か違うと違和感を感じたのだった。
何か針状の放射状に開いた葉の数がヒマラヤスギのものより「疎」な感じがし、葉の色が明るい感じ、それに その枝が赤っぽい感じだったのだ。また、花か実か何かわからないものも枝先についているように見える。
ただ、ヒマラヤスギの細部まではよく観察したことがなかった。ただ、やはり葉の様子がヒマラヤスギのものではないと思いだした。調べてみたが、ほかの樹木との鑑別を模索するにしても名前が浮かばないし、鑑別すべき樹木もわからなかった。思い切って、例の樹木専門サイト「このきなんのき掲示板」(*C*)に質問することにした。
『背丈3mほどの樹木で、針状の葉が特徴的です。葉の大きさや形がヒマラヤスギに似た樹木ですが、花らしいものが付いています。園芸種樹木と思われるのですが名前が判りません。どうぞ名前をお教えください。ヒマラヤスギに似た樹木ですが、もし、ヒマラヤスギなら すいません。
でも、ヒマラヤスギにしては、葉の出方がひどく「粗」な感じです。新芽(新しい葉)なら一か所から10本くらい出ていると思うのですが? どうなんでしょうか?。お教えください。』
【ヒマラヤスギですよ!】と簡単に答えが来て突っぱねられるのではないかと心配していたが、恐る恐るサイトを開いてみたら5人の方からコメントが届いていた。ちょっと、びっくり。
それらのお返事に、【ヒマラヤスギですよ!】というものはなく、「ネズ(ネズミサシ)」 もしくは「レバノンスギ」ではなかろうかとの話が展開していたのである。
これらの諸氏の意見から「ネズ(ネズミサシ)」か「レバノンスギ」かを比較検討したが、どうも前者の方と考えた。
レバノンスギの方はヨーロッパや中東などに分布している樹木で、樹高が35~45m、胸高直径が1.5mほどに成長する木だという。特徴的な強い芳香があり、防虫効果がある事から、虫害を防止を利用して箪笥の材料などに使用されるという。葉はヒマラヤスギよりも緑が濃く、枝葉は水平に張り出すがまばらな印象がある。葉の長さはヒマラヤスギとほぼ同じか、やや短い。成長はヒマラヤスギよりもやや遅いという。
レバノン、キプロス島を原産地とするヒマラヤスギの仲間で、雄大な樹形はレバノンの国旗にデザインされている。欧米ではヒマラヤスギより多く公園等に使われるが、日本での活用は乏しく一部の公園や植物園に見られるのみであるという。
一方、この樹木と考えられるネズ[別名 ネズミサシ](*D*)の方だが、岩手県以西の丘陵地に生育する常緑の針葉樹である。
葉は針状で長さが1.2~2.5cmで、先端が尖っていて触ると痛い。ヒマラヤスギに似てはいるが、重要な葉の所見として、その表面に白い一本の縦線(気孔帯という)が目立つ。葉は一点から3本がでている「3輪生」でヒマラヤスギはそれよりはるかに多い。
このネズ(別名 ネズミサシ) は雌雄異株で、3月の終わりころから4月にかけて花を咲かせるという。♂株では葉の付け根に小さなマツボックリ(松かさ)状の花序を付ける。一方の♀花は枝の先端付近に付き、その花序は3つの種鱗が目立って淡紅褐色(ピンク色)を帯びたものだという。その後にできてくる実(毬果)は白緑色の8~10mmのもので、中には3つの種子が入っている。この毬果は翌年の秋に黒紫色に熟すという。
ネズミサシ(ネズミ刺し)という名前は、この樹木の葉の先端が鋭く、この枝をネズミの通り道に置いておくと、ネズミが嫌がり、”ネズミ避け”が避けるということからのようである。
このネズミサシには、時として茎の先端に果実や花と紛らわしい黄緑色のものができ、これはネズミサシメチョウチンフシという虫こぶ [虫えい](*E*)であり、中にこの虫の幼虫がいる。この虫こぶは春先にだけ見られ、茶色のものは虫が抜けた後だという。
*【参照HP】①「世知原・吉井サイクリングロード」(*A*): 自分で勝手に名前を変えて『世知原・山野草ウォーキングコース』(*A*): a. ≪旬の風 689≫ 世知原・山野草ウォーキングコース:[ http://rsytw766.livedoor.blog/archives/3987496.html ]、② 、
② ヒマラヤスギ(*B*):a. ヒマラヤスギ(*1002)、b. ヒマラヤスギ Ⅱ(*1971)、c. ヒマラヤスギ Ⅲ(*4236)、③ 樹木専門サイト「このきなんのき掲示板」(*C*):[ http://www.photobb.net/bbs.cgi?id=10170 ]、④ 虫こぶ [虫えい](*D*): a. イスノキ[Ⅳ](*3541)、b. イスノキ[Ⅲ](*3523)、c. センニンソウ Ⅸ (さび病虫えい)、d. エゴノキ(*3843) : エゴノネコアシ (虫こぶ) 、e. イスノキ (別名 : ヒョンノキ)(*1730)、f. ケヤキ Ⅵ [虫えい・虫こぶ] (*4316)
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