山川草木・動物 歳時記 Ⅱ 

身の回りの自然を歳時記風に綴った記録。

2020年05月


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                       * 2020.05.16


5182)  キンラン Ⅳ


 ランの一種であるキンラン(*A*)やギンラン(*B*)の自生を見ることは滅多にない。ただ、これまでにこの長崎県北部の数か所だけで見つけてきた。そこには、あるといっても数株のものだが、次の年には見られないことも多い。ひどく目立つ綺麗な花なので盗掘された可能性もある。
 ちょうど、今の4~5月がその花の時期であり、今まで見てきたところを訪ねたのだが今年は見ることができなかった。気候的な問題でまだ咲いていないのか、終ってしまったのか・・・・それとも、考えたくはないが・・もしや【盗掘】・・・? 嫌な感じだ。


 ところが、ところがである。・・・具体的な場所に関しては言えないのだが、長崎県のある所にキンランの花があちこちに咲いている場所を発見したのだ。何か、僕には【奇跡の場所】のように思えたのだった。

 ぱっと見渡して7株くらいを同時に見ることができる。あまりその状況を詳しく書くと場所が察知されてしまうので、これ以上は書かない。いかにも盗掘されそうな誰でも行きそうな場所だからである。盗掘されなくても、『あれ~? 綺麗な黄色の花が…【プツン!】』ということもある筈だ。

 ここには、どうして、何株というキンランがあちこちに咲いてあるのか? 不思議でならない。

 ここの不思議な状況を考えてみると、キンランが生育できる条件がいくつか考えられるのだが、近くにクロマツ(*C*)の林があることが多い。乾いた感じの土地にが多い。人目のないところに多い。

 普通の年に ここを訪れている人は多いと思われるのだが、う・・ん、もしかしたら、このところの「コロナ禍」にあって、最近はここには誰も人が来なかったからか?
 それで、このキンランは「盗掘」や「ちょん切り」の被害に会わなかったから、今こうして、あっちこっちに見られるのかなあ・・・・・

 キンランは山や丘陵の林の中に生える高さ30~70cmの地に生えるラン(*D*)の一種である。4~6月に茎の先に1cm位の黄色い花を総状に付ける。5枚の花弁は半開き状態で中に赤い花芯が見える。葉は10cm程で縦方向のシワが目立っている。花の白いものはギンラン(*B*)で似たような場所に生えるのだが、見る頻度はこちらが少ない。さらに、稀なものとして「ササバギンラン」というものがあるようであが、花を崩さないと鑑別ができないという。これは最近、あの「M」さん(*E*)から最近聞いた話だ。

 キンラン自体はかつては日本でどこにもあるありふれた和ランの一種だったが、1990年ころから急に少なくなり、1997年には環境省のレッドリストに挙げられている。大切にしていかないとこの日本の地上から消え去ることになるのだ。





*【参照HP】① キンラン(*A*) :b. キンラン[Ⅱ]:(検索中)、② ギンラン(*B*):、③ クロマツ(*C*):、、b. ロマツ (*3277)、c. クロマツ [Ⅴ](*3873)、d. 旬の風 298  虹の松原、④  ラン(*D*): a. (*3363)、b.(*3526)。⑤ 「M」さん(*E*):a. 、 b.  ヒメミツバツツジ [ミツバツツジ[Ⅲ](*3681)★★、c. 黒髪山系の植物』:不知火書房 松尾 優(著):[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/book.html ]、[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/ ]、d. ヒノキシダ(*2656) 、e.  バイカアマチャ (梅花甘茶)(*2655)③ ナベヅル(*C*):a. ] 、b. ≪瞬・旬の風 26 ≫ ナベヅル [Ⅱ] 

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                       * 2020.05.14

5181)  マロニエ Ⅱ 「ベニバナトチノキ」


 焼き物の「有田」はドイツの窯業都市である「マイセン」と40年ほど前から姉妹関係を結んでいる。そのことを記念して、有田ダムのダムサイトの一角の森に「マイセンの森」(*A*)が20年前ほどに造成されている。

 このマイセンの森」の小さな広場には、日本の様々な樹木やドイツからもたらされたらしいボダイジュ[西洋ボダイジュ?](*B*)の木が植えてある。

 この日、大発見だったのはマロニエ(*C*)の木に花が咲いていたことだった。マロニエの木なんて日本では見たことがなく、かつてのヨーロッパ旅行でフランス(パリ)やドイツのロマンティク街道で見たことがあるだけで、『ほう・・・これが、あの有名なマロニエの木というものか・・・』と思ったことがあった。ヨーロッパでは、特にパリでは「マロニエの並木道」(*D*)というのが有名なのである。

 目の前に日が当たって光り輝く樹木があった。ちょうど「マイセンの森」広場の中央である。赤く見たことのない花が総状花序でついていた。目の前まで近寄ってみたら花には多くのクマバチがいて盛んに吸蜜を繰り返していた。その下に古くなっテ7時が読みにくいネームプレートがあり、「マロニ・・」と書いてあった。

 その掌のような葉を見て、すぐにそれがマロニエの葉であることが判り、その花がマロニエの花であることが判ったのだ。・・・感動だった。
 しかし「マロニ・・」のプレートがなかったら、「マロニエの花」だとは判らなかったはずだ。・・・・・というのは、その葉はトチノキ(*E*)によく似ているのだ。そういえば、このマロニエは「西洋トチノキ(栃の木)」とも呼ばれるのである。

 トチノキの花を調べてみたら、花は房状・総状のもので縦に盛り上がって咲くが、花色は白色で花芯部に赤いものが見れるが、花弁の基部がやや紅色を帯びるらしい。ただ、トチノキはひどく大きくなるが、マロニエ(=セイヨウトチノキ)はその背丈も葉も小さめである。

 ここの花は赤い花で、マロニエ(セイヨウトチノキ)は赤い花なのだろうか思ったのだが、マロニエの花は白色の4弁花とするものもある。どうも基本的オーソドックスな花色は白色~薄いピンク色であるが、赤い花色のものもあり、オーストリアのウイーンの町には赤い花と白い花を組み合わせた並木道が多いという。もともと白い花のマロニエの原産地はバルカン半島で、「マイセンの森」にあった赤い花のマロニエは、バルカン半島原産の白い花のマロニエと北アメリカ原産のアカバナトチノキを掛け合わせて作られたらしい。その名前は、「ベニバナトチノキ」と呼ばれている。すなわち、この公園の赤いマロニエの花は「ベニバナトチノキ」の花なのである。

 この「ベニバナトチノキ」の花にはひっきりなしにクマバチ(*E*)が吸蜜にやってきていた。 






*【参照HP】①「マイセンの森」(*A*): ボダイジュ[西洋ボダイジュ?](*C*):a. 、b.③ マロニエ(*C*):a.  おお・・・これがパリのマロニエの木、④「マロニエの並木道」(*D*): おお・・・これがパリのマロニエの木、⑤ トチノキ(*E*):a. トチノキ(*1178)、b. トチノキ[](*2708) クマバチ(*E*):
b. 


                           * 2020.05.15


≪瞬・旬の風 40 ≫ 

            マイセンの森 


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                       * 2020.05.13

≪瞬・旬の風 40 ≫ 

                                                マイセンの森 


 陶器の町 有田(*A*)には 人の人情と素晴らしい自然にあふれた場所が多くある。もちろん焼き物の美しさ・丹精さは素晴らしいものは見ていると本当に魅了され欲しくなる。そこには焼き物に人生をかけて作ってきた職人の情熱がビシビシと伝わってくる。

 焼き物の「有田」はドイツの窯業都市である「マイセン」と姉妹関係を結んで、40年ほどになるようだ。そのことを記念して、有田ダムのダムサイトの一角の森に「マイセンの森」が20年前ほどに造成された。ドイツの「マイセン」はヨーロッパで初めて硬質磁器を生み出した有名なメーカーであるが、有田焼が大きな影響を与えたという。

 有田の山の手にあるこのマイセンの森」(*B*)の小さな広場には、日本の様々な樹木やドイツからもたらされたボダイジュ[西洋ボダイジュ?](*C*)、マロニエ(*D*)の木が植えてある。


 5月の陽ざしの中、このマイセンの森」と有田ダム周辺を歩いて散策したが、その道で長い「物干しざお」のような捕虫網で何かを掬っている人に出会った。シイ(*E*)の木の高いところに捕虫網を伸ばしてその花に集まるゾウムシ(*F*)の一種である[・・・・ゾウムシ(名前は忘れた)」を捕っているのだという。
 お話を聞いていると、どうも・・・昆虫学者のようで、甲虫類を専門にしているらしい。僕の知った昆虫や植物の専門家の人たちの名前が何人も出てきた。お名前は「N」さんといった。とても普通の昆虫好きの人とは思えない持ち物・お話、ひどく興味ある昆虫にまつわる話を聞かせてくれたお人だった。話に出てきた「M」さん(*G*)とはお知り合いらしく、「M」さんの著書「黒髪山系の植物(不知火書房)」(*H*)を絶賛されていた。

 あとで、「M」さんに電話をしたところ「N」さんは、功名な昆虫(甲虫)学者であることが分った。何か、僕の中学校時代のひどく厳しかった数学の「U」先生によく似た人で、初めはたじろいだが、その笑顔は少年のような爽やかさだった。

 「M」さんによると、このマイセンの森」を含む有田ダム周辺の森は、野鳥、昆虫・植物の隠された宝庫であるとのことだった。

 たしかに、様々な種類の野鳥の声が静かな緑の中のあちこちに響いていたし、様々な知らない樹木も多かった。また、意外にも面白い人たちが集まってくるところかもしれない。





*【参照hp】① 有田(*A*):c.d.、f.  ② 「マイセンの森」(*B*):a. まったり ダイアリー:マイセンの森(有田ダム):[ https://ameblo.jp/kappe0210/entry-10508950730.html ]、b. いつもNAVI:マイセンの森:[ https://www.its-mo.com/detail/DIDX_ZPOI-00000000000002006364/ ]、 ボダイジュ[西洋ボダイジュ?](*C*):a. 、b. ④ マロニエ(*D*):a.  おお・・・これがパリのマロニエの木、⑤ シイ(*E*) a. 、b.c. d. ⑥ ゾウムシ(*F*):b.  、⑦ 「M」さん(*G*)a. 、 b.  ヒメミツバツツジ [ミツバツツジ Ⅲ](*3681)★★、c. 『黒髪山系の植物』:不知火書房 松尾 優(著):[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/book.html ]、[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/ ]、d. (*2656)、e. (*2655)、f.(*3681)、g.(*2670)、h.(*3737)、⑧ 「M」さんの著書「黒髪山系の植物(不知火書房)」(*H*):『黒髪山系の植物』:不知火書房 松尾 優(著):[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/book.html ]、[ http://www14.ocn.ne.jp/~kurokami/ ]
  


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5180) サンショウソウ 

 

 

 今回、長崎県高木町の多良岳(*A*)の麓にある「轟の滝」(*B*)で、【サンショウソウ】らしいと思われる写真を何枚も撮ってきた。

 あとで調べてみたら、その殆どがオオサンショウソウ(*5179)だったが、一部に短くて丸っぽい葉の狭義名の「サンショウソウ」らしいものが写っていた。オオサンショウソウのほうは、葉が大きくて葉の先端が尖ったもので、この「サンショウソウ」は別の種である。

 

 前回も述べたように、「サンショウソウ(*988)」の方は、オオサンショウソウ(*C*)よりも、草体全体が小さく、葉も丸っぽくて小さい。サンショウソウの葉の特徴は葉縁の鋸歯のところでその間が盛り上がっている。これに対して「オオサンショウソウ」では平坦なものだ(図参照)。

 

 この「サンショウソウ」は葉の大きさが0.8~2cmで、2~4.5cmのオオサンショウソウの葉よりも小さい。だが、その花に関しては、雌雄が判るような拡大写真は撮っていない。あの谷間の陽の当たらない場所では、両者が混在してあったことなんて考えもしなかった。

 

 次回、どこかで「サンショウソウ」、もしくは、「オオサンショウソウ」を見たらそのモヤモヤっとしたポンポン状の花を詳しく観察しようと思っている。

 

 この「轟の滝」(*B*)の周辺ではシダ類(*E*)をはじめ、陰性環境の野草が多くあるようで、来年こそはと思っている。この時期はこの滝の上流にある多良岳・「ツクシシャクナゲの群生地」(*G*)にシャクナゲ(*H*)の花が見られるという。今年は開花が早かったようで、この日(5月の初旬)には花は終わっていた。 

 


 



*【参照HP】 多良岳(*A*) a. アズキナシ [Ⅱ](*4020)b. ≪旬の風 485≫ アオバセセリ、「轟の滝」(*B*):長崎県高木町 「轟の滝」(*B*)瞬・旬の風 39 ≫ 轟の滝、.オサンショウソウ [Ⅱ](*5179)サンショウソウ(*988) ,⑤ オオサンショウソウ(*C*): a. オオサンショウソウ(*1582)b. オサンショウソウ [Ⅱ](*5179)⑥ シダ類(*E*):多良岳・「ツクシシャクナゲの群生地」(*G*): a. いさはやをもっと楽しく:[ https://www.isahaya-kankou.com/spot?mid=790 ]、b. 長崎県公式HP:長崎県の文化財:多良岳ツクシシャクナゲ群叢:[ http://www.pref.nagasaki.jp/bunkadb/index.php/view/78 ]、⑦ シャクナゲ(*H*): a. (*2435)、c.



 

 

 

 

 

 

 







5179) オオサンショウソウ Ⅱ


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こちらは・・・サンショウソウ


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「オオサンショウソウ」と「サンショウソウ」の葉縁(鋸歯)の違い

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5180) オオサンショウソウ Ⅱ


 そこは長崎県の高木町。多良岳(*A*)の麓にある深い谷底にあった「轟の滝」(*B*)まで下りて行った。
 降りて行った先にはたったの5mほどのちっぽけな滝を見て、またその谷底から坂をエンヤラと登って行かなければならなかった。

 その登り道でふと見つけたのがサンショウ(*C*)の葉に似た「サンショウソウ」だった。

 確か、サンショウソウには「サンショウソウ(*988)」と「オオサンショウソウ(*1582)」があったはずだ。今回のものはどっちの「サンショウソウ」だろう?

 一応、写真を何枚も撮って、家に帰って過去の自分のブログを見てみた。どうも、その葉が大きくて葉の先端が尖ったものは、「オオサンショウソウ」で、その葉が短く丸っぽいものは「サンショウソウ」で、両者は別々の種のとして区別されるようだ。
 さて、今回のものが葉の大きさに違いと葉先のとがりの有無だけで区別ができるのだろうか?

 今回「轟の滝」で撮ったそれらの写真を見て行くと、多くがその葉が大きくて葉の先端が尖ったもので、その葉が短く丸っぽいものは「サンショウソウ」だと考えられれた。ただ、数枚にその葉が短く丸っぽい「サンショウソウ」らしいものが写っていた。

 「オオサンショウソウ」らしいものは、茎の先端に新しい黄緑色の葉が2~3枚あり、葉の付け根(葉腋)には4~5mmの毛玉のようなポヤポヤ~っとした緑色の花らしいものが付いている。
 近接撮影したものは、その毛の中に白い花びらのようなものがあり、その中心には1mmもない赤い球状のものが付いていた。

 調べてみると、この1mmもない赤い球状のものは、「果実」であるらしく♀花につく。ただ、この「オオサンショウソウ」は「雌雄同株」で「雌雄異花」・・・同じ株に♂♀別々の花が付くという人と「多くは雌雄株」と言う人があり、見解が分かれている。ひとつ個体の先のほうに「雄花」,基部のほうに「雌花」をつける両性個体も見つかるということで、基本的には「雌雄同株」で「雌雄異花」と見ていいだろう。たまたま、写真に写っていたサンショウソウ(次回掲載)は上述の
葉が短くて丸っぽく葉先が尖っていないものというほかに葉縁が鋸歯のところで盛り上がるようになる。これに対してこの「オオサンショウソウ」では平坦だとされる(図参照)。


















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